明けましておめでとうございます!
昨年12月12日、シンポジウムが無事に終了し、
その後は受講生の懇親会と修了式が行われました。
シンポジウムにお越しくださった皆様、
今まで公開講座にご協力、ご声援をいただいた皆様、
ありがとうございました。
…ということで、市民社会再生2009年度は”修了”いたしましたが、
まだ”終 了”ではございません!!
そのシンポジウムの際にもお伝えいたしました通り、
team★sotaことプロジェクト2の有志は、下記若手フォーラムに
参加いたしますので、詳細をお伝えいたします。
(以下詳細)
=====================
日本文化政策学会 若手フォーラム~政策夜塾
「共同財」としてのアートを支える経済的しくみ
=====================
日時:2010年1月9日(土)20:00~22:00
会場:東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール
JR常磐線、東京メトロ千代田線・日比谷線、
東武伊勢崎線、つくばエクスプレス 北千住駅下車
西口、仲町口 徒歩約10分 東京メトロ 1番出口 徒歩5分
参加無料
パネリスト 鈴木滉二郎(静岡文化芸術大学文化政策学部教授)
小林 真理(東京大学文学部・大学院人文社会系研究科准教授)
コメンテーター 曽田 修司(跡見学園女子大学マネジメント学部教授)
プレゼンター プロジェクト「『所有』からアートの公共性を考える」有志メンバー
司 会 大澤 寅雄((株)ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室/日本橋学館大学 非常勤講師)
私たちは「アートとは、ある集団における共同財ではないか」という視点で、「その共同財を『みんな』で支えるしくみがどのようなものであるのか」ということを議論してきた。また、「『みんな』で支えるしくみ」とは、私有財としてアートの所有を市場経済に委ねることや、公共財として政府が公的資金を投入してアートを保護することと、どのように違い、どのような方法が可能なのかを考察した。
いま私たちは、「公共」は「政府」が担うものであるという先入観を拭い去ることが求められている。そこで、「公=政府」と「私=私企業」とは別の集合体として「共=共同体」が存在するという考え方に基づき、様々な社会活動において「公・共・私」の関わりを見つめることで、「公」や「私」という境界を越えて「共」を支えていく経済的なしくみのあり方を考察する。そこから、「共同財」としてのアートを支えるしくみのあり方を提案したい。
詳細は日本文化政策学会ウェブサイトをご覧下さい。
http://www.jacpr.jp
=====================
発表のパワーポイントや、MCに定評のある(?)team★sota有志の、
学会デビューを温かく見守っていただけますと幸いです。
遅くなりましたが、上記のお知らせをもって、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
プロジェクト2(team★sota)
2010年1月6日水曜日
2009年11月27日金曜日
シンポジウム「市民社会再生に向けて <文化裁判員>制度はありうるか?」(12/12)を開催します!
こんにちは、事務局の佐藤です。
文化資源学公開講座では12/12に
下記のシンポジウムを開催いたします。
3年間にわたって開催されてきた公開講座の
総括となるシンポジウムです。
みなさまのご参加をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします!
今更?のTwitterも始めています。
試行錯誤中ですが、こちらもよろしくお願いします!
http://twitter.com/shiminsyakai
以下、転送歓迎!
-------- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
東京大学文化資源学公開講座
「市民社会再生―新しい理論構築に向けて」シンポジウム
------------------------------------------
市民社会再生に向けて、
<文化裁判員>制度はありうるか?
------------------------------------------
日時 2009年12月12日(土)14:00~17:30
会場 東京大学法文2号館1大教室
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR-K/akusesu.html
定員 150名
申込 以下、オンラインフォームよりお申し込みください。
http://bit.ly/4sY1YL
詳しくは以下のウェブサイトもご覧ください。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR-K/shinpo.html
主催 東京大学大学院 人文社会系研究科 文化資源学研究専攻
協賛 パナソニック
後援 文化資源学会、日本文化政策学会
-------- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
長い目で見れば、裁判員制度は、おそらく、
この夏の「政権交代」よりももっと大きな影響を
日本社会に及ぼすことになるのではないでしょうか。
では、文化の領域で、どのように可能だろうかという問いかけを、
シンポジウムで行おうと思います。芸術文化の価値とその振興策を
誰がどのような仕組みで決定=裁判するのかという問題提起です。
ここでは「裁判」という言葉を比喩的に用います。
決して、裁判制度を芸術文化の世界に持ち込むのではありません。
争いごとの裁定ではなく、価値判断や評価を下すこと、しかし、
それが単なる個人的な判断に終わらず、社会に生かされる仕組みを
考えようとすることを、「裁判」という言葉に託したいと思います。
いいかえれば、「裁判官」の世界に
「裁判員」が参入することの可能性を問いたいと考えています。
-------- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
14:00~14:15 3年間の総括と趣旨説明
木下直之(東京大学人文社会系研究科教授)
14:15~15:15 話題提供「裁判員制度が社会にもたらしたもの」(仮)
三谷太一郎(東京大学法学部名誉教授)
<休憩:15分>
15:30~16:30 3プロジェクトチームによる報告
「戦後の文化行政、美術館、モダニズム建築を考える」
「<所有>からアートの公共性を考える」
「芸術文化振興施策に関する規範を考える」
各チーム代表者(3チーム、各20分程度)
16:30~17:30 総合討論
司会=曽田修司(跡見学園女子大学教授)
小林真理(東京大学人文社会系研究科准教授)
-------- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
連絡先 東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室内
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 tel/fax 03 (5841) 1251
e-mail: shiminsyakaisaisei[@]gmail.com
--------------------------------------------
文化資源学公開講座では12/12に
下記のシンポジウムを開催いたします。
3年間にわたって開催されてきた公開講座の
総括となるシンポジウムです。
みなさまのご参加をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします!
今更?のTwitterも始めています。
試行錯誤中ですが、こちらもよろしくお願いします!
http://twitter.com/shiminsyakai
以下、転送歓迎!
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東京大学文化資源学公開講座
「市民社会再生―新しい理論構築に向けて」シンポジウム
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市民社会再生に向けて、
<文化裁判員>制度はありうるか?
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日時 2009年12月12日(土)14:00~17:30
会場 東京大学法文2号館1大教室
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR-K/akusesu.html
定員 150名
申込 以下、オンラインフォームよりお申し込みください。
http://bit.ly/4sY1YL
詳しくは以下のウェブサイトもご覧ください。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR-K/shinpo.html
主催 東京大学大学院 人文社会系研究科 文化資源学研究専攻
協賛 パナソニック
後援 文化資源学会、日本文化政策学会
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長い目で見れば、裁判員制度は、おそらく、
この夏の「政権交代」よりももっと大きな影響を
日本社会に及ぼすことになるのではないでしょうか。
では、文化の領域で、どのように可能だろうかという問いかけを、
シンポジウムで行おうと思います。芸術文化の価値とその振興策を
誰がどのような仕組みで決定=裁判するのかという問題提起です。
ここでは「裁判」という言葉を比喩的に用います。
決して、裁判制度を芸術文化の世界に持ち込むのではありません。
争いごとの裁定ではなく、価値判断や評価を下すこと、しかし、
それが単なる個人的な判断に終わらず、社会に生かされる仕組みを
考えようとすることを、「裁判」という言葉に託したいと思います。
いいかえれば、「裁判官」の世界に
「裁判員」が参入することの可能性を問いたいと考えています。
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14:00~14:15 3年間の総括と趣旨説明
木下直之(東京大学人文社会系研究科教授)
14:15~15:15 話題提供「裁判員制度が社会にもたらしたもの」(仮)
三谷太一郎(東京大学法学部名誉教授)
<休憩:15分>
15:30~16:30 3プロジェクトチームによる報告
「戦後の文化行政、美術館、モダニズム建築を考える」
「<所有>からアートの公共性を考える」
「芸術文化振興施策に関する規範を考える」
各チーム代表者(3チーム、各20分程度)
16:30~17:30 総合討論
司会=曽田修司(跡見学園女子大学教授)
小林真理(東京大学人文社会系研究科准教授)
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連絡先 東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室内
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 tel/fax 03 (5841) 1251
e-mail: shiminsyakaisaisei[@]gmail.com
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2009年11月12日木曜日
【第七回議事録】プロジェクト2:「『所有』からアートの公共性を考える」
こんにちは。11月も中旬になり、いよいよ寒くなってきましたね。
大変お待たせいたしました!10月23日の議事録をお届けいたします。
■これまでの論点洗い出し(メーリングリスト上で展開された議論タイトル)
-なぜ行政がアートに助成しなければならないのか
-文化裁判員制度はありうるか
-共を支えるための経済的仕組み →なぜ行政がアートに助成するかとの関連
-黒NPOと赤NPOの経済的観点
-文化施設に期待すること
-アーティスト議員・政策を担う文化人
-公共コレクション
-アートと倫理、表現の自由
-アートとデザインの境界
-ジェントリフィケーション、および文化による地域活性化
-限界集落の祭り
-ボランティア
■12月のお題「文化裁判員」(※)について
(※シンポジウム仮テーマ中の用語。詳細は改めて告知させていただきます。)
「文化裁判員」をプロジェクト2が一番広くとらえている?大風呂敷。
=「いろんな人が文化に関わって意見を行って決めていく仕組み」
経済的に支える仕組みも、ネットでいろんな人が意見を言えるのも、アーティスト議員も
文化裁判員制度はありうるか?で、ありえるorありえないではなく
すでにいろんな形で存在する・これからも存在しうる
文化に対する意思決定の多様なありようについて、私たちはこう考えた、ということを示したい。
「関わることも一種の所有」
「文化裁判員も、すでに私たちが関わってしまっている関わり方の一種」
所有→共同体のとらえなおし
限りなく変幻自在な、一夜の観客も、ネットコミュニティも共同体
■多様性の尊重
活発な議論ができたのは、それぞれのバックボーンが違うから
多様な共同体にそれぞれが属していることによって、いろんな角度から文化について見られる
多様性の担保
アート好きとして大きく偏ってはいるかもしれないけど
裁判員を制度化するとしたら、
どれだけ多様なコミュニティの声を反映できるか
閉じたコミュニティでの閉じた判断では文化裁判員はおかしくなる気がする
オープンな議論をすることは大事
でもなんでもありでいいのか?
無限にある共同体の尊重がない限り、文化裁判員制度OKとは言っちゃいけない気がする
参加の保証、関われることの保証
■まとめ
文化裁判員制度はありうるか?
→すでに私たちは多様な文化裁判のありように参加している
ただしそれが制度として機能しているかどうかは考えなければならない
そこにどれだけ多様な価値が加えられるか
意思決定と価値形成が文化裁判に求められる
それは制度として機能しているかどうか、
機能しているものはどういう要素があって機能できているか
できていないものに足りないのは何か
どのように機能させるか
加えて裁判員の波及効果
よい裁判が何かは誰にもわからない
ただそこに関わることによってこういう効果があるということは言える
関わることは一種の所有
すべての国民が裁判員になれる=すべての国民が文化に関われる
関わることは一種の所有
だからといって関わることが大事なんだから無罪でも死刑でもどっちでもいいというわけではなく
文化裁判で判定するのはいいかわるいかではない。
何を判定するのかはわからないけれど、
たとえば税金の使い方が悪いかどうかは判断できる
でも多様性を大事にするなら9割が無駄といっても1割が必要だというのはどうするか
その1割を担保するのが人権
文化権を人権ととらえるイメージがもっと広がるといい
今は文化の幅が狭くて既にある文化を広められるものが文化権みたいな理解だけど
文化的生存権、曽田先生風にいえば、「参照系の保障」
(以 上)
先日は、通常の日程に加え、臨時会議(?)も開催しました。
12月のシンポジウムに向けて、議論はますます加速していきます!
大変お待たせいたしました!10月23日の議事録をお届けいたします。
■これまでの論点洗い出し(メーリングリスト上で展開された議論タイトル)
-なぜ行政がアートに助成しなければならないのか
-文化裁判員制度はありうるか
-共を支えるための経済的仕組み →なぜ行政がアートに助成するかとの関連
-黒NPOと赤NPOの経済的観点
-文化施設に期待すること
-アーティスト議員・政策を担う文化人
-公共コレクション
-アートと倫理、表現の自由
-アートとデザインの境界
-ジェントリフィケーション、および文化による地域活性化
-限界集落の祭り
-ボランティア
■12月のお題「文化裁判員」(※)について
(※シンポジウム仮テーマ中の用語。詳細は改めて告知させていただきます。)
「文化裁判員」をプロジェクト2が一番広くとらえている?大風呂敷。
=「いろんな人が文化に関わって意見を行って決めていく仕組み」
経済的に支える仕組みも、ネットでいろんな人が意見を言えるのも、アーティスト議員も
文化裁判員制度はありうるか?で、ありえるorありえないではなく
すでにいろんな形で存在する・これからも存在しうる
文化に対する意思決定の多様なありようについて、私たちはこう考えた、ということを示したい。
「関わることも一種の所有」
「文化裁判員も、すでに私たちが関わってしまっている関わり方の一種」
所有→共同体のとらえなおし
限りなく変幻自在な、一夜の観客も、ネットコミュニティも共同体
■多様性の尊重
活発な議論ができたのは、それぞれのバックボーンが違うから
多様な共同体にそれぞれが属していることによって、いろんな角度から文化について見られる
多様性の担保
アート好きとして大きく偏ってはいるかもしれないけど
裁判員を制度化するとしたら、
どれだけ多様なコミュニティの声を反映できるか
閉じたコミュニティでの閉じた判断では文化裁判員はおかしくなる気がする
オープンな議論をすることは大事
でもなんでもありでいいのか?
無限にある共同体の尊重がない限り、文化裁判員制度OKとは言っちゃいけない気がする
参加の保証、関われることの保証
■まとめ
文化裁判員制度はありうるか?
→すでに私たちは多様な文化裁判のありように参加している
ただしそれが制度として機能しているかどうかは考えなければならない
そこにどれだけ多様な価値が加えられるか
意思決定と価値形成が文化裁判に求められる
それは制度として機能しているかどうか、
機能しているものはどういう要素があって機能できているか
できていないものに足りないのは何か
どのように機能させるか
加えて裁判員の波及効果
よい裁判が何かは誰にもわからない
ただそこに関わることによってこういう効果があるということは言える
関わることは一種の所有
すべての国民が裁判員になれる=すべての国民が文化に関われる
関わることは一種の所有
だからといって関わることが大事なんだから無罪でも死刑でもどっちでもいいというわけではなく
文化裁判で判定するのはいいかわるいかではない。
何を判定するのかはわからないけれど、
たとえば税金の使い方が悪いかどうかは判断できる
でも多様性を大事にするなら9割が無駄といっても1割が必要だというのはどうするか
その1割を担保するのが人権
文化権を人権ととらえるイメージがもっと広がるといい
今は文化の幅が狭くて既にある文化を広められるものが文化権みたいな理解だけど
文化的生存権、曽田先生風にいえば、「参照系の保障」
(以 上)
先日は、通常の日程に加え、臨時会議(?)も開催しました。
12月のシンポジウムに向けて、議論はますます加速していきます!
2009年11月3日火曜日
【第六回議事録】プロジェクト2:「『所有』からアートの公共性を考える」
こんにちは。
11月に入り、温かい飲み物にほっとする日も多くなりましたね。
プロジェクト2は、合宿と合宿後のミーティングを経て、
北風に負けない!?議論を展開しております。
それでは、少々遅くなってしまいましたが、
後期第一回目、10月9日の議事録をお送りいたします。
【編集中】
※申し訳ございませんが、もうしばらくお待ちください。
11月に入り、温かい飲み物にほっとする日も多くなりましたね。
プロジェクト2は、合宿と合宿後のミーティングを経て、
北風に負けない!?議論を展開しております。
それでは、少々遅くなってしまいましたが、
後期第一回目、10月9日の議事録をお送りいたします。
【編集中】
※申し訳ございませんが、もうしばらくお待ちください。
2009年8月29日土曜日
草津合宿|前編
2009年7月23日木曜日
【第五回議事録】プロジェクト2:「『所有』からアートの公共性を考える」
こんにちは、小中学生は夏休みに入ったようですね。
市民社会再生講座も夏休み!ということで、
夏の風物詩、スイカを囲みつつ、
前半最後のディスカッションを行いました。
今回はその模様を、鈴木(記録)と蔵野(編集)がお伝えいたします。
◆日時:2009年7月10日(金曜日)18:40~20:45
◆アジェンダ:1.合宿についての方向性
2. ゲストへのインタビュー
1.合宿についての方向性
<決定事項①>タイムテーブルの大枠
1日目 グループワーク1st Cession
□インタビュー報告会
□立ち位置がペストフの三角形上どのあたりなのか、模造紙・付箋などを用いてマッピング
※キーワードだと感じたことのマッピングなど、幾つかの切り口があった方がベター
2日目 グループワーク 2nd Cession
☐1st Cessionを踏まえてプレゼンの内容の部分作りこみ
グループワーク3rd Cession
□プレゼンへ向けて全体の流れの確認
3日目 意見交換会
<決定事項②>合宿までの準備確認
共通のインタビュー項目をベースに新たな切り口を見つけるべく、これぞ!という方々に
お話を伺いに出向く。※質問書は共通書式を使用し、報告は合宿で行う
2.ゲストへのインタビュー
<ペストフの三角形をインタビューの中でどう扱うか?>
1.(ペストフの三角形を引用しながら)ご自身の組織・活動をどこに位置づけていますか?
その組織or 活動の位置づけは、点ではなく面にもなり得ます。
組織or活動上の、利害が絡んでいる主体が、どこに位置づけられるのか。
具体的に、どういう主体なのか。
・「ご自身の活動と公共性についてどう思われますか?」などと
割と答えやすい形の質問を先にし、三角形を見せながら研究の意図を伝える。
そして「境目があるとしたらご自身はどこに属されると思われますか?」という流れに結びつける
・聞く対象が誰かにもよるが、この表に至る経緯の説明が必要になる為、
話をお伺いする中で、最終的にこちらで解釈する場合もある
・三角形は見せないと、あとでマッピング等の作業が控えていることを思うときついかも。
先方としても何が聞きたいのか、こちらの意図が分かった方が話しやすいのでは?
・人によってはペストフの三角形のスキーム自体がぶちこわしになるかもしれない
・理想のバランスを書いていただくのも案
<ペストフの三角形と「自由・平等・博愛」>
・「自由・平等・博愛」をペストフの三角形に援用したものがあるが、
これは後から誰かがとりいれた解釈なのか、それともペストフ自身によるものなのか?
・福祉三角形の日本における一番の専門家をお呼びし、「自由・平等・博愛」がペストフの三角形と
どうつながっているのか聞くのもいい(おそらく公共哲学になるだろうが)
・D.Throsby「文化経済学入門」に、
「経済的衝動は個人的であり、文化的衝動は集団的である」という言葉が出てくる
・芸術は個人で、文化となると誰かと共有するものになるのでは?
・それと同じように、一人でアートだ、というのでは承認にならず、誰かが承認する。誰が承認するのか?
<アーティストの視点として小林さん>
・とりあえず作ることからはじめる。出来上がったものは意図していたモノだったり
意図していなかったモノだったりするが、出来上がってから考えることにしている。
また、自分のために作ることもあれば、社会とのコラボレーションもある。
その場合社会の方が主導権を持っているのか?
公共とのコラボレーションをするときは公共が主導権を握っているように感じる。
・作家が社会とかかわった時に初めて三角形のなかで「面」としての広がりが生まれるのでは?
どこまでそれが広がるか、また境界線はどこなのか、ブレなどが分かると面白い
―合宿で透明なセロファンを三角形の上に広げていくというのも面白い
・アートはコミュニティのまま居続けられるのか?現実としては居続けにくいのでは。
国家(「公」)に行きそうだったり、企業(「私」)にいきそうだったり
・「コミュニティアート」も、財源が政府機関だったら?財源はどんどん政府に依存せざるを得ないような状況だったら?
・アサヒアートフェスティバルも財源は企業
・建前や実体のジレンマなど
<その他インタビュー項目について>
3.市民との関係を考える担当者はいますか?その場合の市民とはどういう人々のことをいますか?
4.市民側のリクエストなどを想定していますか?それに対応するために
どうのような体制を整えていますか?「持ち寄り」「持ち出し」をイメージできていますか?
・「市民」という言葉について
英語だとpublic relation、まわり、多様性のある人
「みんな」という言葉が一番色がついていなように感じる適語である
7.公共コレクションについてどう思われますか?
8.文化施設へ行く理由はなんですか?
・明快な質問は、ヒントになる言葉が貰えるかもしれないので取り入れるべき。
実体的な言葉を拾い出して、仮説を検証したり、強固にしたり、壊したり、
あるいは新しいものを作ったりすればよい
・「コレクション」というと美術館を連想させる。「公共的なアート」と聞いて、
なにを連想しますか?というような方が答えやすい
・Yes/No Questionで質問が閉じられてしまうので、
「開かれた」答えを貰えるようにしたほうがいいのでは?
・力みのない質問をし、最初からよろいを見せず、自然に答えてもらえたことを、どう翻訳できるか
・相手に曽田先生のHPの文章+なにかキーワードを伝えておく。それに加えて、
「なぜあなたを選んだのか?」は説明できなくてはいけない
<具体的なインタビューの方法>
・どなたに誰が聞きに行くか?
・自分で選んだ人+誰かにJoinし、なるべく1人では行わない
・リーダーを決めておき、日程や人数などをメーリスで告知し募る
・グループのページにあるカレンダーに各自で内容を書き込んでUpしておく
・Voice recorderがあるといい
<曽田先生より前半まとめ>
アンケートを答えやすい言葉で作ればかなり作業が進めやすくなるように思われる。
最終的に12月のシンポジウムまでに文化政策とどうつなげるか?つなげようはある。
合宿の時に文化政策のツールとしていったん作り、後半の講義で外部の目を入れ、
検証していく作業を行うようにする。
<スピーチ>
1.川上さん(東京大学4年)
・アウトサイダーアートの質をどう評価していくか
・深瀬鋭一郎さんのお手伝い こんど記録をNPOから出される
・台東歴史都市研究会(ワークショップのスタッフをされる)
2.中村(み)さん(東京大学博士課程3年)
・研究することが好き 研究できるようになって研究者としての社会的貢献の形を探っていきたい
・スイカ割りはワークショップの一つでは!?
(写真:なんと、冒頭のスイカは、メンバーの方のお子様が、安田講堂前で割ってくださったものです!)
第五回議事録は、以上となります。
夏休み中は、メーリングリスト上での議論や、
インタビューやイベントへの参加等、活発に活動してまいります。
その模様も、お届けする予定です!
それでは、皆様素敵な夏休みをお過ごしくださいませ!
2009年7月17日金曜日
プロジェクト1 第4回議事録
プロジェクト1 第4回議事録
東京大学文化資源学公開講座「市民社会再生」2009
戦後の文化行政、美術館、さらにモダニズム建築を考える
プロジェクト作業(3) 要旨
2009.7.3
―――
I.今後の見通し(木下)
I-1.プロジェクトのコンセプトと必要な作業について
I-2.日程について
II.プロジェクトの内容について再確認(木下)
II-1.戦後の文化行政
II-2.モダンアートの美術館
II-3.美術館建築
II-4.その他
III.ディスカッション
III-1.フリー
III-2.調査の役割分担
III-3.ゲスト
IV.次回以降のための確認
―――
※草津合宿まで早くも残り2回となりました。そこで、木下先生から今後の見通しとして、コンセプトと必要な作業、スケジュール等を確認するお話が冒頭にありました。
I.今後の見通し(木下)
I-1.プロジェクトのコンセプトと必要な作業について
・このプロジェクトはあくまで神奈川県立近代美術館(以下「鎌近」)を手がかりとして進めていくが、
美術館あるいは建築についての一般的問題に展開していかなければ深みがない。
・美術館と建築の二つの議論は別物ではあるが、それらが交差する領域を探してみたい。
今のところ「ハコモノという概念」がその候補となろう。
・具体的な作業のロードマップ作りすなわち日程管理はやらなければならない。
→まず基礎的かつ具体的な情報収集をする必要があるが、
これはいくつかの小グループでやるのが良いだろう。
→さらに、文献や文字資料の収集、インタビュー計画、ゲスト選定も必要な作業である。
I-2.日程について
・今回7月3日と次回7月10日が終われば次は8月28日の合宿初日まで間が開く。
この7月10日から8月28日までの期間をどう使っていくかが重要。
・8月28日の合宿初日までに「議論の材料となるデータ」の収集が必須。
なお、合宿2日目の8月29日はグループで打ち合わせができる。
・当初、大学での講座日や合宿の日にゲストを呼んで一緒に話すつもりだったけれど、
大学に来てもらうのは現状では難しいだろう。むしろ、
われわれが出かけていってインタビューで情報収集することを検討するのがよくないだろうか。
・合宿3日目の8月30日には3つのグループがそれぞれの成果を公表しあう予定。
II.プロジェクトの内容について再確認(木下)
※以上の概要を踏まえ、木下先生からプロジェクトの内容について多少突っ込んだ意見開示がありました。
鎌近を手がかりとするわれわれにとって、ここから引き出せる問題が3つあること。
さらにその補足として「公共性」について。
II-1.戦後の文化行政
・鎌近から引き出せる問題の第一点として「戦後の文化行政」について。
・文化行政は戦後の早い段階に着手された。
それは「文化国家」の建設を目指すものであり、地方自治の象徴だと考えられた。
・しかし、1960年代の高度経済成長は「エコノミック・アニマル」の評言にあらわれているように、
終戦直後の理想とは別な方向に日本を導いた。
・さらに時代はめぐり、今度は経済至上主義に対する揺り戻しとして
「文化の時代」「地方の時代」が取りざたされるような状況に至っている。
・以上述べたように、戦後を問い直すことは、
戦後日本が目指したものがいかなる経過をたどってきたかを検証することである。
それはすなわち鎌近58年目の現状分析へとつながる。単なる過去の検証ではない。
II-2.モダンアートの美術館
・鎌近から引き出せる第二の問題。「モダンアートの美術館」ということについて。
・モダンアートは当時、普遍性を持つ文化として考えられてきた。
それはまさに世界へ開かれた通路としての美術館にふさわしいものであった。
・それから58年目を迎えたモダンアートの美術館に、市民社会再生拠点としての可能性はあるだろうか。
あるとしたらいかなる様態においてだろうか。
II-3.美術館建築
・鎌近から引き出せる第三の問題。「モダニズム建築」について。
・前項で述べたような「モダンアートの美術館」の機能にふさわしいものとして選び取られたのが
モダニズム建築であった。
・それから58年目のモダニズム建築が問いかける「建築保存」「建築の評価」「景観」について
考えることができる。
II-4.その他
・「多様性」という概念がある。これは、この公開講座において過去2年間追求してきた重要な概念だ。
多様性を担保できる社会のありようとはいかなるものだろうか。
・8月28日までに議論の材料を収集しないといけない。前回のレジュメとして出した10項目はその案である。
III.ディスカッション
※木下先生の問題提起を受けて参加者のディスカッション。まずは自由発言。
「→」はそれに対する木下先生や他の参加者、時には本人のコメント、フォロー
III-1.フリー
・先生のレジュメ通りにすすんでいったらいいのだろうか?
→とりあえず進行の枠組みを決めていく必要はあるだろう。
・現代社会一般の状況分析も有意義なのではないか。
→はじめはあまり広げすぎず、美術館にこだわる必要性を見いだすことが重要だと思う。
もちろん、現今のアートプロジェクトやその他の運動すべてを否定して美術館が残るべきだ、
という結論はまずあり得ないだろう。
その意味では「市民社会再生」の拠点についての議論が美術館だけでは収まることはないのだが、
とりあえず夏までは鎌近という物件にこだわっていこう。
・基本的な調査対象として前回のレジュメに示された10項目は、
時代背景によってその重要性や性格を変えてきたのではないか。
→興味に応じてこれらのテーマについて調査し、年表に落としこんでいくと何かが見えるだろう。
・今できるのは「分担」だろう。どう割り振ってどう情報収集していくか。
仮にインタビューをすることとなった場合、その仕組みについては事務局で検討する。
→たとえば見学会でお会いした稲庭さんは学校連携に熱心な学芸員なのだが、
既存の美術館では「美術史を学んだ学芸員が美術についての情報を提供する」
スタイルでずっとやってきて学校連携などの取り組みについていろいろと難しい部分があったりもする。
たとえば、ある作品についての学芸員の説明はキャプションとして提示されているのに、
作品を観た子供たちのコメントを壁面に掲示するのはなかなか困難である。
稲庭さんからはそういう方面の話も聴けるだろう。
→鈴木博之氏は建築史の先生だが、建築保存にまつわるあらゆる現場に関わってきた方である。
彼の経験をあらいざらい聞くことで何かが見えてくるだろう。
→公開講座は講義ではないので、木下は設計図を与えるというより交通整理のかたちで関わっていきたい。
III-2.調査の役割分担
※木下先生から、基礎情報の収集について分担を決めてしまおうというご提案。
とっかかりとして、各人、前回の10項目から調査したい項目を一つ挙げてコメントすることに。
なお、情報収集にあたってはネット情報に頼るだけではあぶないので、
十分な検証作業が必要とのご指摘もあった。
・ハコモノ概念形成史に興味がある。中身が伴っての美術館なのに。
→ハコモノという表記表現はマスコミ発なのだろうか。
建築関係者はみずから揶揄的な意味では使わないだろうから。
→新聞記事データベースで情報をとることができるだろう。
・美術館予算に興味がある。
→設置主体によって情報公開度にはばらつきがあるだろう。それ自体も情報。
・占領期の文化行政に興味がある。現在の自分の専門とも時代背景をともにしている。
・戦後の美術館建設史。当初現代美術には興味がなかったが、水戸芸術館に行ってみたらハマった。
水戸芸は現代美術についての拒否反応も多かった中でやり続けたことに意味がある。
設立当時の鎌近と重なるものを感じる。
→このリストで言えば美術館建設史年表の一部か。
→相模原市のように美術館の計画があるところも押さえてみるとおもしろい。
→美術館の反対運動(たとえば横須賀市)をも加えられるかも。
栃木県、富山県、その他いろいろと事件はあった。いずれにせよ年表の制作は役立つだろう。
・年表制作。現状とくに特別な思い入れのあるテーマがないが、
美術館がどのように残っていくのかというその選択基準、
あるいは「世界遺産」というようなもののメリットとは何なのか、といったことに興味がある。
年表作りにたずさわることで状況を俯瞰できるのではないだろうか。
→年表をきちんと(諸問題の全体像が見えるように)作るのは重要。そのフォーマットを作ってほしい。
→美術館が残るのは100年200年残るコレクションによってなのであるとかつては言われていた。
今はそのための予算から真っ先に切られているが、
ほんの数十年前にいわれていた美術館の理想像がそんなに簡単に変わって良いのか。
・設置条例や目的一覧。基本的には建築ではなく美術館に興味があるため。
→条例は非公開はありえないから見つけやすいだろう。
どういう力学で設置条例が決まってくるのか、それを見比べることで見えてくることもあろう。
・アニメの殿堂。今日も知り合いとその話題になった。
「とりあえずベースをつくるのは評価できる」派と「あんな箱をつくっても意味ない」派。
→鎌近を手がかりに美術館の問題を考えるけれど、最終的にこの施設について考えることはあり。
・いささか抽象的だが「人」について。「利用者」の変遷をたどるほかに、
「アーティストを育てるアクションを起こしてきた」のはどこだったのかということに興味あり。
さまざまな条件を考慮しつつ比較し特徴を抽出できないか。
この10年でくたびれちゃった館とそうでない館の比較など。
→公立館の利用者一覧は基礎資料として必要だろう。
・美術館建設史年表。これは単なるマッピング作業ではないと思う。
美術館の定義やあり方も変わっているだろうし。
建築という視点で言えば産業遺跡の再利用としての美術館というような要素も
ある時期から盛んになっている。こういった美術館建築についての視点の推移も視野に入れ、
気になる人にヒヤリングをしつつ。
→建築の方面からこの年表を充実させるという流れでしょうか。
いまは簡単に年表制作と言っているけど、実際にはいろいろな関わり方があるようだ。
→国立新美術館(コレクションを持たない)の出現によって美術館の認識のされ方も変わっている。
・東京中央郵便局の追跡に興味あり。モダニズム建築の保存と廃棄にかかわる諸要因を考えたい。
「評価の正当性」を認識してもらうにはどうすればいいのだろうか。
・年表。流れが見えた方がよいから。グッゲンハイムビルバオのように、
建築自体が作品というようなこともあるし。美術館のクロニクルをみるだけではなく、
どのような人に建築を依頼したかということも興味深い。
・美術館の機能や役割について情報を共有したい。そのために公立美術館の設置条例と目的。
・ハコモノ概念形成史。新しい評価軸を設定するのは難しいと思うけれど、
まずはいままで美術館がいかに評価されてきたか、ということを考えてみたい。
・鎌倉の景観保全状況。『地域再生 まちづくりの知恵』を読んで興味を引かれたこともあって。
さらに、鎌倉自体がいかなるまちづくりをしてきたか。ヒヤリングもしたい。
・占領期の文化政策。「占領期」のことをもう一度とらえ直し、
いわゆるハコモノ行政の前提・背景として知っておくことも大切なのではないだろうか。
・モダニズム建築の保存例。さらには保存されなかった例も押さえてみたい。
・予算。予算書にあたることができればどういう事業にどういう配分がなされているかがわかるだろう。
→全体をざっとみることができる資料が見つかるとよいが。
・広島平和記念資料館。
当時の広島の「市民社会再生」にいかなる役割を果たしてきたかを見ることもできるかと思う。
→一応これは例として挙げたのだけれど、今広島に絞るのはどうかな。
モダニズム建築の保存例として示したというところもあるので。
・年表が好き。年表を作りつつ、占領期の文化政策について考えたい。
「博覧会を横浜でやったときにアメリカからの抑圧もあった」という知事の記事を読んで
その背景を知りたいと思った。なぜ鎌近は横浜でなく鎌倉なのか、ということにも興味あり。
→
年表にはいろいろな要素があるから、その分担の仕方は考える余地があるかも。
III-3.ゲスト
※ゲストについて木下先生から提案あり。ゲストの人選のこととインタビュー形式のすすめ。
ゲストを誰にどのように依頼したら良いか、具体的に考えてみたい。
現状だと、ゲストが1時間話をしたら1日分の公開講座がそれで終わってしまうし、
7月10日に呼ぶのはもう無理。
むしろ、今の分担にしたがって調査をする上で必要な人に
インタビューするというやり方があるのではないか。具体的に話を聴きたい人の案を考え、
来週名前を出しあおう。
個々の分担について、8月28日までのアクションプランを考えて持ち寄るとよいのではないだろうか。
美術館と建築の問題がクロスオーバーする領域がどこにあるのか―
「ハコモノ概念」というのは本当にありだと思っているけど―ということも考えてみる必要があろう。
人を呼ぶなら「ものすごくインスパイアされる人」でないと。
細かい情報を取るだけならゲストを呼んで時間を使うよりもインタビューを実施する方がいいだろう。
だが、インタビュー形式は当初想定していなかったので、手土産(謝礼)等をどうしたらよいか、
システムを検討する。
IV.次回以降のための確認
来週で一区切りだけど、合宿前に一回は集まった方がいいと思う。7月17日はどうだろう。
モダニズム建築についてのシンポジウムが17日の夜にあります。
ともあれ具体的にインタビューしたい人を挙げる作業をしていこう。メーリスで意見交換しよう。
―以下、質問への木下先生の回答など
【合宿について】今のところ時間的なことくらいしか決まっていない。
初日は14:00頃現地集合して夕方までミーティング。
2日目は会議室は借りているのでグループの話はできる。
3日目はプロジェクトの中間報告。昼に解散。
合宿の記録係は1日1人になっているが、それはさすがにしんどいので分担を考える。
【入手困難文献について】読む手立てがない本などがあったら、メーリスに知らせてください。
【懇親会】合宿前にこのメンバで集まるのは来週が最後。
学校での打ち合わせが終わった後に場所を変えて集まろう。
店は「とうがらし」でいかが。翌日は鎌近の見学会だけど、その晩に集まるのは「原則として」なし。
【鎌近第二次調査団について】14:00本館集合。16:30別館へ移動してこどもと美術館のイベント見学。18:00頃解散の予定。
なお、当日行けない方で調査の際に聞いてきてほしいことなどがあればメール等で知らせてください。
【宿題】本日分担した基礎情報の収集活動について、
合宿までにどのように進行させるか、アクションプランを持ち寄る。
東京大学文化資源学公開講座「市民社会再生」2009
戦後の文化行政、美術館、さらにモダニズム建築を考える
プロジェクト作業(3) 要旨
2009.7.3
―――
I.今後の見通し(木下)
I-1.プロジェクトのコンセプトと必要な作業について
I-2.日程について
II.プロジェクトの内容について再確認(木下)
II-1.戦後の文化行政
II-2.モダンアートの美術館
II-3.美術館建築
II-4.その他
III.ディスカッション
III-1.フリー
III-2.調査の役割分担
III-3.ゲスト
IV.次回以降のための確認
―――
※草津合宿まで早くも残り2回となりました。そこで、木下先生から今後の見通しとして、コンセプトと必要な作業、スケジュール等を確認するお話が冒頭にありました。
I.今後の見通し(木下)
I-1.プロジェクトのコンセプトと必要な作業について
・このプロジェクトはあくまで神奈川県立近代美術館(以下「鎌近」)を手がかりとして進めていくが、
美術館あるいは建築についての一般的問題に展開していかなければ深みがない。
・美術館と建築の二つの議論は別物ではあるが、それらが交差する領域を探してみたい。
今のところ「ハコモノという概念」がその候補となろう。
・具体的な作業のロードマップ作りすなわち日程管理はやらなければならない。
→まず基礎的かつ具体的な情報収集をする必要があるが、
これはいくつかの小グループでやるのが良いだろう。
→さらに、文献や文字資料の収集、インタビュー計画、ゲスト選定も必要な作業である。
I-2.日程について
・今回7月3日と次回7月10日が終われば次は8月28日の合宿初日まで間が開く。
この7月10日から8月28日までの期間をどう使っていくかが重要。
・8月28日の合宿初日までに「議論の材料となるデータ」の収集が必須。
なお、合宿2日目の8月29日はグループで打ち合わせができる。
・当初、大学での講座日や合宿の日にゲストを呼んで一緒に話すつもりだったけれど、
大学に来てもらうのは現状では難しいだろう。むしろ、
われわれが出かけていってインタビューで情報収集することを検討するのがよくないだろうか。
・合宿3日目の8月30日には3つのグループがそれぞれの成果を公表しあう予定。
II.プロジェクトの内容について再確認(木下)
※以上の概要を踏まえ、木下先生からプロジェクトの内容について多少突っ込んだ意見開示がありました。
鎌近を手がかりとするわれわれにとって、ここから引き出せる問題が3つあること。
さらにその補足として「公共性」について。
II-1.戦後の文化行政
・鎌近から引き出せる問題の第一点として「戦後の文化行政」について。
・文化行政は戦後の早い段階に着手された。
それは「文化国家」の建設を目指すものであり、地方自治の象徴だと考えられた。
・しかし、1960年代の高度経済成長は「エコノミック・アニマル」の評言にあらわれているように、
終戦直後の理想とは別な方向に日本を導いた。
・さらに時代はめぐり、今度は経済至上主義に対する揺り戻しとして
「文化の時代」「地方の時代」が取りざたされるような状況に至っている。
・以上述べたように、戦後を問い直すことは、
戦後日本が目指したものがいかなる経過をたどってきたかを検証することである。
それはすなわち鎌近58年目の現状分析へとつながる。単なる過去の検証ではない。
II-2.モダンアートの美術館
・鎌近から引き出せる第二の問題。「モダンアートの美術館」ということについて。
・モダンアートは当時、普遍性を持つ文化として考えられてきた。
それはまさに世界へ開かれた通路としての美術館にふさわしいものであった。
・それから58年目を迎えたモダンアートの美術館に、市民社会再生拠点としての可能性はあるだろうか。
あるとしたらいかなる様態においてだろうか。
II-3.美術館建築
・鎌近から引き出せる第三の問題。「モダニズム建築」について。
・前項で述べたような「モダンアートの美術館」の機能にふさわしいものとして選び取られたのが
モダニズム建築であった。
・それから58年目のモダニズム建築が問いかける「建築保存」「建築の評価」「景観」について
考えることができる。
II-4.その他
・「多様性」という概念がある。これは、この公開講座において過去2年間追求してきた重要な概念だ。
多様性を担保できる社会のありようとはいかなるものだろうか。
・8月28日までに議論の材料を収集しないといけない。前回のレジュメとして出した10項目はその案である。
III.ディスカッション
※木下先生の問題提起を受けて参加者のディスカッション。まずは自由発言。
「→」はそれに対する木下先生や他の参加者、時には本人のコメント、フォロー
III-1.フリー
・先生のレジュメ通りにすすんでいったらいいのだろうか?
→とりあえず進行の枠組みを決めていく必要はあるだろう。
・現代社会一般の状況分析も有意義なのではないか。
→はじめはあまり広げすぎず、美術館にこだわる必要性を見いだすことが重要だと思う。
もちろん、現今のアートプロジェクトやその他の運動すべてを否定して美術館が残るべきだ、
という結論はまずあり得ないだろう。
その意味では「市民社会再生」の拠点についての議論が美術館だけでは収まることはないのだが、
とりあえず夏までは鎌近という物件にこだわっていこう。
・基本的な調査対象として前回のレジュメに示された10項目は、
時代背景によってその重要性や性格を変えてきたのではないか。
→興味に応じてこれらのテーマについて調査し、年表に落としこんでいくと何かが見えるだろう。
・今できるのは「分担」だろう。どう割り振ってどう情報収集していくか。
仮にインタビューをすることとなった場合、その仕組みについては事務局で検討する。
→たとえば見学会でお会いした稲庭さんは学校連携に熱心な学芸員なのだが、
既存の美術館では「美術史を学んだ学芸員が美術についての情報を提供する」
スタイルでずっとやってきて学校連携などの取り組みについていろいろと難しい部分があったりもする。
たとえば、ある作品についての学芸員の説明はキャプションとして提示されているのに、
作品を観た子供たちのコメントを壁面に掲示するのはなかなか困難である。
稲庭さんからはそういう方面の話も聴けるだろう。
→鈴木博之氏は建築史の先生だが、建築保存にまつわるあらゆる現場に関わってきた方である。
彼の経験をあらいざらい聞くことで何かが見えてくるだろう。
→公開講座は講義ではないので、木下は設計図を与えるというより交通整理のかたちで関わっていきたい。
III-2.調査の役割分担
※木下先生から、基礎情報の収集について分担を決めてしまおうというご提案。
とっかかりとして、各人、前回の10項目から調査したい項目を一つ挙げてコメントすることに。
なお、情報収集にあたってはネット情報に頼るだけではあぶないので、
十分な検証作業が必要とのご指摘もあった。
・ハコモノ概念形成史に興味がある。中身が伴っての美術館なのに。
→ハコモノという表記表現はマスコミ発なのだろうか。
建築関係者はみずから揶揄的な意味では使わないだろうから。
→新聞記事データベースで情報をとることができるだろう。
・美術館予算に興味がある。
→設置主体によって情報公開度にはばらつきがあるだろう。それ自体も情報。
・占領期の文化行政に興味がある。現在の自分の専門とも時代背景をともにしている。
・戦後の美術館建設史。当初現代美術には興味がなかったが、水戸芸術館に行ってみたらハマった。
水戸芸は現代美術についての拒否反応も多かった中でやり続けたことに意味がある。
設立当時の鎌近と重なるものを感じる。
→このリストで言えば美術館建設史年表の一部か。
→相模原市のように美術館の計画があるところも押さえてみるとおもしろい。
→美術館の反対運動(たとえば横須賀市)をも加えられるかも。
栃木県、富山県、その他いろいろと事件はあった。いずれにせよ年表の制作は役立つだろう。
・年表制作。現状とくに特別な思い入れのあるテーマがないが、
美術館がどのように残っていくのかというその選択基準、
あるいは「世界遺産」というようなもののメリットとは何なのか、といったことに興味がある。
年表作りにたずさわることで状況を俯瞰できるのではないだろうか。
→年表をきちんと(諸問題の全体像が見えるように)作るのは重要。そのフォーマットを作ってほしい。
→美術館が残るのは100年200年残るコレクションによってなのであるとかつては言われていた。
今はそのための予算から真っ先に切られているが、
ほんの数十年前にいわれていた美術館の理想像がそんなに簡単に変わって良いのか。
・設置条例や目的一覧。基本的には建築ではなく美術館に興味があるため。
→条例は非公開はありえないから見つけやすいだろう。
どういう力学で設置条例が決まってくるのか、それを見比べることで見えてくることもあろう。
・アニメの殿堂。今日も知り合いとその話題になった。
「とりあえずベースをつくるのは評価できる」派と「あんな箱をつくっても意味ない」派。
→鎌近を手がかりに美術館の問題を考えるけれど、最終的にこの施設について考えることはあり。
・いささか抽象的だが「人」について。「利用者」の変遷をたどるほかに、
「アーティストを育てるアクションを起こしてきた」のはどこだったのかということに興味あり。
さまざまな条件を考慮しつつ比較し特徴を抽出できないか。
この10年でくたびれちゃった館とそうでない館の比較など。
→公立館の利用者一覧は基礎資料として必要だろう。
・美術館建設史年表。これは単なるマッピング作業ではないと思う。
美術館の定義やあり方も変わっているだろうし。
建築という視点で言えば産業遺跡の再利用としての美術館というような要素も
ある時期から盛んになっている。こういった美術館建築についての視点の推移も視野に入れ、
気になる人にヒヤリングをしつつ。
→建築の方面からこの年表を充実させるという流れでしょうか。
いまは簡単に年表制作と言っているけど、実際にはいろいろな関わり方があるようだ。
→国立新美術館(コレクションを持たない)の出現によって美術館の認識のされ方も変わっている。
・東京中央郵便局の追跡に興味あり。モダニズム建築の保存と廃棄にかかわる諸要因を考えたい。
「評価の正当性」を認識してもらうにはどうすればいいのだろうか。
・年表。流れが見えた方がよいから。グッゲンハイムビルバオのように、
建築自体が作品というようなこともあるし。美術館のクロニクルをみるだけではなく、
どのような人に建築を依頼したかということも興味深い。
・美術館の機能や役割について情報を共有したい。そのために公立美術館の設置条例と目的。
・ハコモノ概念形成史。新しい評価軸を設定するのは難しいと思うけれど、
まずはいままで美術館がいかに評価されてきたか、ということを考えてみたい。
・鎌倉の景観保全状況。『地域再生 まちづくりの知恵』を読んで興味を引かれたこともあって。
さらに、鎌倉自体がいかなるまちづくりをしてきたか。ヒヤリングもしたい。
・占領期の文化政策。「占領期」のことをもう一度とらえ直し、
いわゆるハコモノ行政の前提・背景として知っておくことも大切なのではないだろうか。
・モダニズム建築の保存例。さらには保存されなかった例も押さえてみたい。
・予算。予算書にあたることができればどういう事業にどういう配分がなされているかがわかるだろう。
→全体をざっとみることができる資料が見つかるとよいが。
・広島平和記念資料館。
当時の広島の「市民社会再生」にいかなる役割を果たしてきたかを見ることもできるかと思う。
→一応これは例として挙げたのだけれど、今広島に絞るのはどうかな。
モダニズム建築の保存例として示したというところもあるので。
・年表が好き。年表を作りつつ、占領期の文化政策について考えたい。
「博覧会を横浜でやったときにアメリカからの抑圧もあった」という知事の記事を読んで
その背景を知りたいと思った。なぜ鎌近は横浜でなく鎌倉なのか、ということにも興味あり。
→
年表にはいろいろな要素があるから、その分担の仕方は考える余地があるかも。
III-3.ゲスト
※ゲストについて木下先生から提案あり。ゲストの人選のこととインタビュー形式のすすめ。
ゲストを誰にどのように依頼したら良いか、具体的に考えてみたい。
現状だと、ゲストが1時間話をしたら1日分の公開講座がそれで終わってしまうし、
7月10日に呼ぶのはもう無理。
むしろ、今の分担にしたがって調査をする上で必要な人に
インタビューするというやり方があるのではないか。具体的に話を聴きたい人の案を考え、
来週名前を出しあおう。
個々の分担について、8月28日までのアクションプランを考えて持ち寄るとよいのではないだろうか。
美術館と建築の問題がクロスオーバーする領域がどこにあるのか―
「ハコモノ概念」というのは本当にありだと思っているけど―ということも考えてみる必要があろう。
人を呼ぶなら「ものすごくインスパイアされる人」でないと。
細かい情報を取るだけならゲストを呼んで時間を使うよりもインタビューを実施する方がいいだろう。
だが、インタビュー形式は当初想定していなかったので、手土産(謝礼)等をどうしたらよいか、
システムを検討する。
IV.次回以降のための確認
来週で一区切りだけど、合宿前に一回は集まった方がいいと思う。7月17日はどうだろう。
モダニズム建築についてのシンポジウムが17日の夜にあります。
ともあれ具体的にインタビューしたい人を挙げる作業をしていこう。メーリスで意見交換しよう。
―以下、質問への木下先生の回答など
【合宿について】今のところ時間的なことくらいしか決まっていない。
初日は14:00頃現地集合して夕方までミーティング。
2日目は会議室は借りているのでグループの話はできる。
3日目はプロジェクトの中間報告。昼に解散。
合宿の記録係は1日1人になっているが、それはさすがにしんどいので分担を考える。
【入手困難文献について】読む手立てがない本などがあったら、メーリスに知らせてください。
【懇親会】合宿前にこのメンバで集まるのは来週が最後。
学校での打ち合わせが終わった後に場所を変えて集まろう。
店は「とうがらし」でいかが。翌日は鎌近の見学会だけど、その晩に集まるのは「原則として」なし。
【鎌近第二次調査団について】14:00本館集合。16:30別館へ移動してこどもと美術館のイベント見学。18:00頃解散の予定。
なお、当日行けない方で調査の際に聞いてきてほしいことなどがあればメール等で知らせてください。
【宿題】本日分担した基礎情報の収集活動について、
合宿までにどのように進行させるか、アクションプランを持ち寄る。
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