2009年7月3日金曜日

プロジェクト1 神奈川県立近代美術館見学会

プロジェクト1 神奈川県立近代美術館見学会 記録
日時:2009年6月27日(土)14時~
場所:神奈川県立近代美術館鎌倉本館及び別館

6月27日(土)に神奈川県立近代美術館「建築家 坂倉準三展」の見学会を行った。
プロジェクト1では当美術館を理論構築の手がかりと位置づけており、
この度の見学会は6月27日、7月11日と2グループに分けて実施される見学会の先発隊だった。
今回は前半に「建築家 坂倉準三展」を見学し、後半は鎌倉別館に場所を移して
「美術館はぼくらの宝物-子どもたちの視点がくれるもの-」を見学した。

○「建築家 坂倉準三展」
 14:30~ 三本松倫代学芸員と簡単な質疑応答を交えながら館内自由鑑賞
 15:30~ 太田泰人学芸員のギャラリートーク
 
まず、最初の一時間程度、三本松学芸員から説明を伺いながら各々自由に鑑賞した。展示内容の説明と並行した会話の中で、この美術館が鶴岡八幡宮の境内の中に設置された経緯、当初は現代美術館としての活動を目指していたこと、コレクション形成のいきさつ、幾度かの改修により美術館の様相も変化していることを伺うことができた。
 
特筆すべき点は、この美術館が鶴岡八幡宮境内の中に設置された経緯として、戦後、国の土地となっていた当地を、県が仲介し、鶴岡八幡宮に返すことになれば、美術館用地として県に土地を貸すという前提条件があったこと、また、コレクションの形成については開館後少しずつ作品が置かれていき、なし崩し的に集まった?という内容の話があった。
 
また見学者の中では、改修によって施された入口階段上にある檻のようなパネルや、塗料を塗りが激しい鉄柱など、「なぜこのような改修になったのか」と色々と意見が出た。
 
太田学芸員のギャラリートークでは、この美術館が色々な意味で先駆けであり、坂倉自身にとってもエポックメイキングな仕事であったと解説があり、戦前のパリ万博日本館、戦時下の組立建築、戦後における公共建築や都市計画に関する仕事を、時代ごとに説明していただいた。また、公開講座2回目の話であった1/1スケールの組立建築についても説明があり、行政指導により撤去することになるかもしれない・・・という状況であるとのことだった。

○「美術館はぼくらの宝物-子どもたちの視点がくれるもの-」
 16:30~ 担当された稲庭彩和子学芸員に解説をしていただきながら見学

 「建築家 坂倉準三展」を見学後、鎌倉別館にて開催中の「美術館はぼくらの宝物-子どもたちの視点がくれるもの-」を、担当された稲庭学芸員に解説していただきながら見学した。
 
最初、「Museum Box宝箱」という双六ゲームの説明があった。このゲームは、自らが学芸員となってカードになった所蔵作品を集めるなど、気軽に作品に触れることができ、2006年から学校や教育機関に貸出されている(一般に販売もしている)。今回の展覧会では、ゲームによって作品に親しんだ子供たちの感想をその作品の周りに貼って一緒に展示していた。
 
子供たちと美術館の関係は一過性のものではなく、その様子は展覧会用に製作されたドキュメンタリー映像と短編映画に納められており、見学者一同も見せてもらったが、子供たちと美術館の交流の深さに驚くとともに、子供たちから出てくる表情や表現に笑わされながら拝見した。
(なお、活動の様子については蓮池通信 http://www.group-rough.net/museum/ というブログでも知ることができます。)
 
稲庭学芸員には見学中色々とお話を伺ったが、最後に「学校との連携においてはどういう連携がしたいのか、長い眼が必要」という趣旨の話があり、我々が目指す市民社会再生という点から見て、稲庭学芸員と当館の教育事業はとても参考となるものと思われた。
 
最後に木下先生から、鶴岡八幡宮にてかつて行われた神仏分離令による景観破壊について説明があり、鎌倉市が世界遺産として登録を目指している景観は、この景観破壊によってできた景観であると指摘があった

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