2009年7月1日水曜日

【第三回議事録】プロジェクト2:「『所有』からアートの公共性を考える」

こんにちは、 いよいよ7月ですね!
梅雨の合間に夏らしい空気を感じる瞬間も、増えてきたのではないでしょうか。

さて、プロジェクト2では先週も、雨にも暑さにも 負けない程の(!?)活発なディスカッションが 繰り広げられました。

それでは、第三回の模様(記録:古賀、編集:海野) をお届けいたします。


■前回までのおさらい
今までの、ML及び教室でのディスカッションから、質問及び議論したい事項を挙げ整理しました。
□「公」・「共」・「私」を巡る議論はどこから発生したのか?
(MLで「公」・「共」・「私」について議論がされ、整理したいという声があり)
→初年度ゲストスピーカー、佐藤健二先生のお言葉より。
 ◇ブログの2007年7月6日のページ参照:
http://shiminsyakaisaisei.blogspot.com/2007/07/blog-post_19.html
□公立美術館に関する議論
→文化施設は「装置」になりうるか?「概念」だけでなく、具体性のある「モノ」について議論したい。


■今後の議論の方針について
□文化施設について
―文化施設は最後の核心になりうるテーマなので、早期にしぼらず、

  前半は幅広いトピックを扱いたい。同様に、語彙の定義(公・共・私)に対しても確定せず、
  漠然とした思いをシェアした方がよいのではないか。
―実際の文化施設(美術館の運営母体)やアートの形式(展示・ストリート)をそれぞれ
 分類してみたらどうか?
→視点を変える。アーティストの方の意見も聞いてみたい。
⇒具体例を検証する作業が行うことにしました。
□「公」・「共」・「私」を巡る議論
―花田達朗先生の「公共圏」(「未決定で動的…」であること、
http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/hanada2/h04/hp04.htm)を前提に、
 文化施設においてどう組み立てていくか。文化施設においてどう組み立てていくか。
 オペレーションとして、どう持っていくか。

 「公共圏」が「親密圏」からの出発であるということは明確である(四段ロケット)。
 「公共=お上」という固定概念をどう変化させていくか。
―最終的にはファイナンスにつなげたい。
 「文化を通して自己決定になる」ということを政治家にマニフェストとして提言させたい。
 公共の三要素=official, public, open。
⇒佐藤先生の講演のときにでた「公」・「共」・「私」概念(数パターンのベン図)を黒板に書き、
 その後江戸時代、現在の「共」についての概念についてまで議論が展開されました。

■「演劇」「芸術」「パフォーマンス」から「公」・「共」・「私」を考える。
前述の提案の通り、キーワードに基づいて具体例を挙げ、
「公」・「共」・「私」に分類する検証をしました。
□公?
―学校の学芸会
→カリキュラムに入っているから公?
→学習指導要領(カリキュラム)における根拠はない。最近は学習発表会という名称で行われている。
―音・匂い(隣家や店等の)
→行為者にとっては「私」であるが、「公」に影響が及ぶ。
⇒公をコントロールするもの=規制・ルール
―人間の身体はどこに属するか?
→体自体は私のものだけれど、存在している場所は公共?
→処分権の問題。
→肖像権も関連。映像・写真作品の難しさ。
→作品の撮影は所蔵作品なら可、企画展等の他からの借り物なら不可等美術館によって様々、しかし著作権有効の場合は許可が必要。
⇒著作権には譲渡不可能な人格権・譲渡可能な財産権の二種があるので、そこを踏まえないと議論しにくい。
□共?
―ベランダ・庭・エクステリア
→景観のためなので私のものでありながら、「公」、「共」である。
→ルールはなく、みんなの意識の問題。外国や日本の一部の地域では景観に関する条例あり。
⇒共をコントロールするもの=世間体・社会性・常識
□私?
―盆栽
→行為自体は「私」であるが、見せるものであるため共の要素もある。
―ごみ屋敷
→他者が迷惑を被っているものの、どうしようもできない。
⇒私=閉じている限りは、なんでもありの世界なのではないか?

■ペストフの福祉三角形(画像参照)
曽田先生が、ディスカッションのためのフレームワークのひとつとして、ご紹介してくださいました。
―福祉で成り立つ構造形態が、文化に当てはめても成り立つのではないか。
―この三角形だと、私=個人(親密圏)という視点から外れる。
→処分権の問題につながるのでは。
 アーティストの制作物はアーティストのものであり、自分で処分(売る)できる。
―アートの公開範囲とは?この三角形に従うと、「企業のミュージカル」は「私」になってしまい、今までの議論と逆転してしまう。

⇒ペストフの福祉三角形について消化不良の部分が多いので各自次回までに勉強(宿題)。
⇒「承認」のシステムが、アートにおいて存在しない(唯一システム化されているものは
美術館やクラシック音楽)ことが問題で、「持ち寄り」で成立したものへの承認の場・仕組みを政策化(ルール化)できないかについて議論が行われました。

■ゲストについて
―色んな切り口があるので、それを生かすためにも、合宿前までは取材(インタビュー)のみに
 してもよいのではないだろうか。
⇒各自(グループ)でインタビューを行い、合宿で発表及びディスカッション。
⇒後半(合宿後)に、意見の異なるゲストを連続二週で呼ぶ。
⇒インタビュー内容に統一性を持たせるため、共通の質問事項を考えてくる(宿題)。

■次週までの宿題
―本日の議論に関連する資料やデータをMLに投稿する。

■フリースピーチby大輔さん
公・共・私の概念は、過去のブログを読んで、理解を深めようと思います。
近況としては、現在行われている代官山の街中にインスタレーションを展示するのコンペに、

子どもが遊べるようなお絵かきスペースを提案しました。
また、大学の(古民家で東京オリンピック選手村を作ることを提案する)プロジェクトにも参加しています。

■曽田先生より
 結論は後半に持ち越さず、アウトプットをどうするかも含め合宿辺りでまとめ、
 最終的にはマニフェスト=解決したいこと集のようなものを作成できればと考えています。

                                                      以 上



今週も、最後までお読みいただき、ありがとうございます!
気候が不安定な今日この頃、どうぞ皆様もお体にお気をつけてお過ごしください。
それでは、次回更新時にお目にかかりましょう。







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